N様邸では、

床の張り替えを検討していたのですが、畳の床の一部が大きく沈み込みシロアリの被害が考えられました。押し入れや収納も使いにくかった為、クローゼットにして、もう一つの収納は仏間として棚を作り、上部には照明と換気扇を取り付けました。天井には以前の雨漏れ跡がありました。1階の西南にあるこの和室は「冬場はとても寒いのよ。」と奥様。「断熱材等を入れ直すと寒さ等も解消されると聞き、予算の中でお願いすることにしました。」そして、ゆっくり暖かく寝られる寝室にする為に工事が始まりました。

解体をしたら、

断熱材等を入れる際に、内部の解体をしたところ、なんと北面の押し入れの壁の柱がシロアリで食い尽くされていました。これには奥様もとてもびっくりされて、地震が来たらこれでは耐えられないので柱と筋交と外壁面の交換もすることになりました。シロアリ消毒等もしっかりして柱等にも金物を取り付けました。これが床だけの工事だったら、そのままの状態でいたのかと思うとゾッとします。性能向上とは断熱性能、耐震性など住まいの大切な部分を直しておくことで、安心で体にも負担の少ない空間が生まれます。

リノベーションとは、

今あるものより性能が向上する事を指します。よく、「ここまで解体するとは思わなかった。」と言われます。耐震性や断熱性を向上させる為に、隠れて見えなくなるところを正しい技術で施工することで、安心で体に優しい住まいの空間が出来るのです。工事中、奥様が「出来上がるたびにだんだん良くなってきますね。」と嬉しいお言葉をいただきました。

サーモグラフィーで温度の見える化

以前雨漏れしていた上部はとたん屋根があるところです。左と右の写真は同じところを撮っています。丸がついているところがとたん屋根に当たるところです。とたんなどの金属は熱を伝えやすい為に太陽の温度を冬でも内部に伝えている様子がわかります。右側の写真だけでは熱が伝わることなどわかりませんが、天井に断熱材を入れることにより室内への温度を伝えにくくなります。こう言った熱の流入などを細かく確認して性能を高めてゆきます。工具だけではなく、サーモグラフィーや、レーザータイプの温度計、含水率計、鉄筋探査計など駆使しながら工事をチェックし進めてゆきます。

断熱材で包み込む

天井、壁、床を断熱材を充填し、外部からの温度の影響を抑えます。これも入れる前にどのくらいの性能になるかをシミュレーションしながら、国の基準に合わせて工事を行います。今回は部分断熱工事という和室が中心の断熱耐震工事です。この部屋の熱の伝わりにくさを数値化します。その基準を今の平均的な新築を上回る性能に高めました。今回はこの部屋だけですが、ここをしっかりと工事しておけば、今後他の部屋もこの断熱性能に合わせて施工をすることができ、築30年の住まいが蘇ります。こう言ったリノベーションをすることで、CO2の削減になり、地球にやさしい住宅に近づくのです。

性能を数字で見える化

サーモグラフィーと同様リノベをする際に断熱性能を数値化でシミュレーションを行います。表の左側グレー色が既存の数値、右側ピンク色が改修後の数値です。UA値(外皮平均熱貫流率)は2.93w/m2kから0.53w/m2kになり、数値が少ないほど高い性能になります。2025年これから約1年半後に新築の木造住宅の義務化になる基準の10パーセント以上性能が良いということになります。2030年に新築の木造住宅の標準的な基準を上回ってる数値となります。82パーセントもの断熱性能の向上になります。しっかりと根拠を出し、そのために施工をすることで、本質的性能向上リノベーションになります。

奥様がぽつりと「このスペースが一番いいですね。」

天井や壁は和紙とおがくずを練り込んだ自然素材の紙クロスをはり、床は広葉樹バーチの無垢材を使いました。シンプルな部屋ですが窓枠やカウンターは自然素材のオイルで着色しています。メインの照明とは別にニッチスペースを活用してカウンターと照明、換気扇を設置。完成後奥様が「何だかこのスペースがとても気に入ったわ。」と言ってくださりました。素材がかもしだす空気感を感じ取ってっくれたのだと思います。「思い切ってリフォームしてよかったわ。」と言ってくださったのも嬉しいです。エアコンの電源はつけましたが、エアコンは取り付けていませんが、隣のリビングの暖房を新しい換気扇で空気を寝室に呼び込むことで、和室にも温かい空気が回ってきます。あったかい寝室で良質な眠りを得られますように!