相模原市南区麻溝台で、昭和47年に建てられた木造住宅のリノベーション工事を進めています。
今回の工事は、間取りを変えてきれいにするだけではなく、耐震補強や断熱改修も含めた工事です。
古い住宅の場合、工事を始める前にどこまで建物の状態を把握できるかが大切になります。
今回は、工事前にホームインスペクションを行い、床下や天井裏に入って、柱や梁、基礎などの状態を確認しました。
ただ、どうしても分からなかったのが筋交いの位置です。
解体して初めて出てきた、厚さ20ミリの筋交い
工事前の調査では筋交いが確認できなかったため、今回の耐震補強は、既存の筋交いに頼らず、新たに設ける耐力壁を中心に計画しました。
ところが、解体を進めていくと、厚さ20ミリ、幅90ミリほどの薄い筋交いが出てきました。

昔の真壁づくりの住宅では、こうした薄い筋交いが使われていることもあります。
ただ、筋交いが入っていれば、それだけで安心というわけではありません。
今回の現場でも、固定が十分でない部分や、途中で切られている部分が確認できました。換気扇の開口を設けた際に、筋交いが切られていたところもあります。


なぜそうなったのか、今となっては分かりません。
こうした状態を見ていると、図面に筋交いが書いてあるから大丈夫、という判断はできないと感じます。
やはり、実際の建物を見ながら考えることが必要です。
特に補強が必要だったのは1階
今回の住宅は、2階については建物の規模や構造の状態を確認し、接合部の金物などを中心に補強を検討しています。
一方で、1階は耐震性能の不足が大きく、しっかり手を入れる必要がありました。
新しい耐力壁を設けたり、必要なところには柱を増設したりしています。

古い和室の柱には、造作材を取り付けるための穴や欠き込みが残っていることがあります。こうした断面の欠損が構造上問題ないかも、一つずつ確認しなければなりません。
また、シロアリによる傷みや雨漏りの跡、木材の変形なども見つかっています。
古い住宅のリノベーションは、予定していた工事をただ進めればいいというものではありません。
解体して見つかった問題にどう対応するか。そこが難しいところでもあり、大切なところだと思っています。
今回の断熱材は、デコスのセルロースファイバーにしました
今回、断熱材をどうしようかといろいろ考えたんですが、1階の壁にはデコスのセルロースファイバーを使うことにしました。
セルロースファイバーというのは、新聞紙を細かく砕いてつくる断熱材なんですね。
新聞紙と聞くと、燃えやすいんじゃないかと思う方もいるかもしれません。
でも、デコスファイバーは製造時にホウ酸やホウ砂を加えて、燃え広がりにくくする処理がされています。
それと、今回この材料を選んだ理由の一つが、湿気に対する性質なんです。
古い住宅を改修するときに気になるのが、壁の中の結露なんですね。
今回は既存のサイディングを残す部分もありますから、壁の中の湿気をどう考えるかというのは、やっぱり大事なところです。

セルロースファイバーには湿気を吸ったり放出したりする性質があります。ただ、それだけで結露を防げるわけではありません。そこは既存の壁のつくりや、気密・防湿の施工も含めて考えていく必要があります。
もう一つは、熱を蓄える性質です。
断熱材というと、熱を逃がさないことばかり考えがちなんですが、熱をどれだけ蓄えられるかということも、室温の変化に関係してくるんですよね。
こういうところは、完成してしまうとまったく見えなくなります。
だからこそ、今回の構造内覧会では、壁を閉じる前の状態も見ていただけたらと思っています。
2階も、できる範囲で断熱を見直します
今回は1階だけでなく、2階についても断熱改修を行います。
2階の壁は大きく解体しないため、開けられる部分にはグラスウールを充填します。
天井裏にはセルロースファイバーを約30センチの厚みで吹き込む計画です。
屋根の下に、厚い断熱材の帽子をかぶせるようなイメージです。

また、1階と2階の間にも断熱材を入れます。
これは断熱だけでなく、上下階の音の伝わり方にも配慮したものです。空気の移動については、断熱材だけで止められるわけではないため、隙間の処理も重要になります。
屋根は既存の屋根を生かしたカバー工法で改修します。
雨水の浸入を防ぎ、これからも長く住める住宅にしていくための工事です。
今回はキッチンも大工さんとつくります
構造や断熱とは別に、完成時の楽しみもあります。
今回はメーカーのシステムキッチンではなく、オリジナルのキッチンを製作する予定です。
ステンレスの天板を別に発注し、IHとシンクを2列に配置します。

その下の引き出しや収納は、大工さんが家具のようにつくっていきます。
スマイルでは、収納やちょっとした家具を現場で製作することはよくありますが、今回はキッチン全体をつくるので、私自身も完成が楽しみです。
工程もありますので、完成時のお披露目に向けて進めていきます。
完成すると見えなくなる部分を、見ていただきたい
リノベーションというと、完成してきれいになった部屋を見る機会が多いと思います。
もちろん、それも楽しみの一つです。
ただ、私としては、壁を閉じる前の状態も一度見ていただきたいと思っています。
古い柱の横に新しい柱を入れているところ。
新しく設けた耐力壁や、柱と梁をつなぐ金物。
壁の中に施工する断熱材。
どれも完成すれば見えなくなってしまいます。
工事の進み具合によって、当日どこまでご覧いただけるかは変わりますが、「古い家はこんなふうに直していくのか」と感じてもらえるだけでも、見ていただく意味があると思います。
今回は、お施主様のご理解とご協力をいただき、工事途中の現場を公開できることになりました。
普段はなかなか見ることのできないリノベーションの途中を、ぜひご覧ください。
構造内覧会のご案内
2026年11月14日(土)・15日(日)
時間:10:00〜16:00
会場:神奈川県相模原市南区麻溝台
完全予約制(詳細な場所は予約後にご案内します)
一般の方はもちろん、住宅の改修や建築に関心のある方にもご覧いただけます。
株式会社スマイル HOME & REFORM
TEL:0120-57-4496